Shigenori
大手通信機器メーカーにて、パーソナルコンピュータの開発、携帯電話の企画、開発、IoTの開発など24年にわたり手がける。2022年にFRONTEO入社。開発チームのマネージメントおよびAI製品の開発、AIソリューションの開発を行う。2023年より現職
日本におけるAI開発の最前線。
専門性の高い分野で
多角的にAIを学べる唯一の会社
属人化を防ぎ、各人のスキルを上げるため
開発チームをひとつに統合
AIソリューション開発統括部について教えてください
FRONTEOには現在、4つの事業部があります。リーガルテックAI事業本部、ビジネスインテリジェンス事業本部、ライフサイエンスAI事業本部、そして経済安全保障室です。これらの事業部門それぞれが、自社開発のAIエンジン「KIBIT(キビット)」を活用した特色あるソリューションを提供しています。
私が入社した当初は、各事業部に独立した4〜5人程度の小規模な開発チームがありました。これではより効率的な開発体制を構築できないと感じ、4事業の開発部門を1つに統合することを提案したんです。その結果、2024年1月に全事業の開発部門の統合が完了。いまはAIソリューション開発統括部として一体的な開発を行いながら、製品の開発からクライアントへのシステム納入まで一貫して担当しています。
この統合により、リソースをより効率的に活用できるようになりました。他部門から柔軟に人員を配置することができ、属人化も防ぐことができます。また、さまざまなタイプの仕事に従事でき、開発者個人のスキルも向上、モチベーションアップにもつながっていると感じています。
入社時に驚いた、KIBITの導入実績の多さ
AIエンジン「KIBIT」の魅力や特徴は?
KIBITの最大の特徴は少ない教師データでも高精度の結果を出せるアルゴリズムを持っていることだと思います。またKIBITという名称は日本語の「機微」に由来しています。当初は機能の頭文字の羅列かと思っていたのですが、「え!日本語だったの!」と驚きました(笑)。この名前からも、日本語により近い考え方で設計されているということが分かると思います。漢字、ひらがな、カタカナが混在し、かつ日本語特有のニュアンスや文脈が理解でき、より自然な形で日本語のデータを処理できるのが強みと感じています。
一般的な生成AIは膨大なデータ量を学習して、欲しい答えを導き出します。しかしKIBITは専門性を追求すべく開発されているので、余計なデータは不要なんですね。この専門性を高めたことで、逆にデータ量を絞り込むことができました。本来は巨大なデータが精度を上げると思われていましたが、あえて専門性を高めてコンパクトにすることで、またアルゴリズムとの組み合わせにより、精度を高めています。
さらに、KIBITは専門性の高い分野に特化しているのも特徴で、わが社のスタートとなった法曹関連や現在ではメガバンクを中心に金融業界といった特定の分野で高い精度を発揮しています。
私が入社する際に驚いたのは、KIBITの導入実績の多さです。実績があるとは「レベルが高い」製品であることの証左。いまAIという単語はデジタル分野の主流となりつつありますが、おそらくAIエンジンを独自に作り、さまざまな事業で展開している実績のある会社はあまりありません。
FRONTEOの強みもそこにあると?
そうですね。FRONTEOは日本におけるAI事業のパイオニアだと思います。専門家向け製品の実績が豊富で、金融、法務、医療分野など、高度な専門性が求められる領域で多くの導入事例があります。かなりメジャーな企業も多いのですが、一方でこうした分野の企業はコンプライアンスやセキュリティの問題でKIBITを導入していますと、なかなか言ってもらえないのが悩みどころです。FRONTEOがメジャーになりきれない要因かもしれません(笑)。
もうひとつの強みは「MADE IN FRONTEO」を実践できること。自社開発ですから、自社内で顧客のニーズに応じて柔軟にカスタマイズできることは大きな強みです。海外製品だと、変更や調整が難しい場合が多いのですが、FRONTEOでは顧客のニーズに合わせて細かな調整、チューニングが可能です。
チューニングについて、もう少し詳しく教えてください
チューニングとは、KIBITから出てきたデータに対して条件を設定し、より精度の高い結果を得られるようにすることです。顧客の要望に合わせてこのチューニングを細かく行えます。
例えば、ある金融機関での使用を想定した場合、その企業特有の用語や取引形態に合わせてKIBITの判断基準を調整します。これにより、一般的なAIよりも高い精度で業務に即した結果を提供することができます。
顧客との密接なコミュニケーションを通じて、製品を継続的に改善し、時には全く新しい製品開発につながることもあります。
技術者にとって非常に刺激的な
AIの成長を間近で見られる環境
最後に、FRONTEOで働く魅力について教えてください
FRONTEOで働く最大の魅力は、AIの実用化最前線にいられることです。自社開発のAIを使った製品を実際に顧客に提供し、その成長を間近で見られる環境は、技術者にとって非常に刺激的です。
また、会社の規模がそれほど大きくないため、開発から顧客対応まで幅広い経験ができます。AIエンジンの開発者と直接コミュニケーションを取れるのも大きな魅力です。これは大手企業ではなかなか経験できないと思います。しかも、開発の現場と直接かかわりを持てるところはわが社のスケールメリット。私も徐々に製品が完成していく様子を間近で見られて、ワクワクすることも多いんです。
さらに、新しい製品を生み出したり、既存の製品を改善したりする過程で、常に新しいことにチャレンジできる環境があります。顧客からの追加要望に応えることで、製品が成長していく様子を実感できるのも、エンジニアとしてのやりがいを感じる瞬間だと思いますね。
AIに興味がある人にとって、FRONTEOは理想的な環境だと自負しています。クライアントがあり、納期もありますから、簡単な仕事ではありません。「キツイ」と感じることも多いでしょう。ただFRONTEOでしかできない仕事が多いのも事実です。一般的なソフトウェア開発の経験があれば、仕事を通じてAIの知識や経験を積むことができ、専門性の高い分野で多角的にAIを学べる唯一の会社だと思います。
Text:Yoko Koizumi/Photo:Shintaro Yoshimatsu