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RECRUITING

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Kentaro

医薬品商社、製薬会社で約20年営業及びマネージメントを経験。現在FRONTEOにおいて、リーガルテックAI事業本部の国内営業責任者として携わる

必要なのはAIやITの知識ではなく、
お客様の困り事を理解し、
適切なソリューションを提案できるスキル

リーガルテックAIはFRONTEOの祖業。米国で窮地に立つ日本企業のため、立ち上げた

リーガルテックAI事業本部について教えてください

企業の不正や、訴訟で必要となる証拠を発見するためのソリューションを提供しています。AIとはいっても一般的な生成AIとは異なり、膨大なデータの中から証拠を見つけ出すことに特化した、自社開発のAI「KIBIT(キビット)」を使ったシステムです。

リーガルテックAI事業は、FRONTEOの祖業でもあります。日本企業が米国訴訟で直面していた課題をきっかけに立ち上げられました。米国訴訟では、事実審理の前にディスカバリ(Discovery)といって、事件に関連する文書や資料などの情報を、原告・被告ともに開示する義務があります。自ら収集して開示しなければならず、提出するデータを変更したり消去したりすることはできません。違反があったと判断されれば罰金を科されたり、証拠改ざんの疑いで裁判でも不利になることもあります。

かつて日本企業は、このディスカバリ対策を米国のベンダーに任せざるを得ず、日本語の文書の翻訳料をはじめ、莫大なコストがかかっていました。そこで、日本企業を守るためにディスカバリ支援事業を立ち上げたのがFRONTEOの始まりです。 当初は人海戦術で調査を行っていましたが、電子情報が増えてきたことで、AIを活用して効率的に証拠を見つける手法を確立しました。特に日本語の解析はアルファベットと違って単語の区切りが明確でないため、非常に困難を伴います。それでも日本企業のニーズに応えるため、独自での開発に踏み切りました。この独自開発したツールが進化を遂げて、現在のAI「KIBIT(キビット)」へと繋がっていきます。

最近は不正調査の依頼が多いと聞きます。どのように進められるのでしょうか?

例えば、ある社員の横領が疑われるケースを考えてみましょう。たとえ本人が否認していたとしても、またどんなに気を付けて不正を行ったとしても、メールやチャット、LINEやTeamsといった電子媒体に何らかの痕跡が残っているもの。特に携帯電話でのやり取りは証拠として残りやすいんです。

ただ、調査対象となるデータは膨大な量になり、人力では限界があります。そこで、KIBITが証拠となりそうな文章を抽出し、優先順位付けを行うことで、疑わしいやり取りを特定していきます。

不正調査の場合、「コト」が起こってから調査することが多いので、会社としては予期せぬ出費になりますし、不正の有無を早急に探り、善後策を練らねばなりません。そうしたときに当社のKIBITを使うことで、大幅に調査期間を圧縮することができ、結果的にコストの圧縮にもつながっていきます。

素早く打ち手を繰り出せる、意思決定の速さが最大の特徴

リーガルテックAI事業本部の組織文化、営業活動における特徴を教えていただけますか?

最大の特徴は意思決定の速さですね。何かアクションを起こそうと思ったとき、大企業では様々な決裁が必要で時間がかかりますが、当社では数日で実行に移せます。私自身、前職は製薬会社の営業所長でしたが、業種はかなり違うとはいえ、スピードの差は歴然です。

また業務の性質上、情報管理は非常に重要です。守秘義務は、常に意識しています。扱う案件は未公表の事件であったり、露見すれば株価に影響を与えることもありうる情報を含みます。ですから社内でも部署を越えての情報共有は行いませんし、過去の案件であっても、話題にすることは厳に慎んでいます。その情報がたとえ営業活動で有効だとしても、安易に言及することは避けています。

営業活動では、平時からの関係構築を重視しています。やはり、不正が発覚してからでは遅いし、費用もかかる。ですから予防的な手法をどう取るべきかのアドバイスや、社内体制の整備について提案を行っています。

とはいえ、お声がかかるタイミングの多くは緊急事態に陥ったとき。「不正を明らかにする」こともあれば、逆に「不正がない」こと証明するときもありますが、緊急事態への対応要請が大半を占めています。

最近の注目のサービスについて教えていただけますか?

最近特に注目されているのが、退職者のデバイスに対する保全サービスです。このところ、退職者による情報漏洩のニュースに接することがあると思います。こうしたデバイス管理が社会問題化していることを背景に、多くの問い合わせをいただいています。

具体的には、社員が退職する際にPCやスマートフォンのデータを完全にコピーして保管するサービスです。通常、企業は退職者のPCをフォーマット化して次の社員に渡します。しかし、それでは後から情報漏洩が疑われても調査のしようがありません。事前にデータを保全しておけば、同業他社に転職して情報を持ち出したような事案でも、証拠を見つけ出すことができます。

特に最近は、LINEやTeamsといったチャットツールでの情報のやり取りも増えていますので、スマートフォンのデータも重要な証拠となります。このサービスは以前からありましたが、最近になって需要が急増しています。ニーズを先読みして準備していた技術が、時代に求められる形で活用されている例だと思います。

AIやITの知識よりも「誠実さ」を重視する

採用や人材育成について、重視されている点は?

私は管理職の役割を「部下が最大のパフォーマンスを発揮できる環境づくり」だと考えているんです。部下の中には20年以上のキャリアを誇るベテランもいて、その知識とスキルは当然、私以上。そうした人材を活かすためにも、互いに尊重し合える関係を築いていきたいと考えています。

また当社の特徴として、長期的なキャリア形成が可能なことが挙げられます。大手企業では、50代後半で営業から内勤へ異動させられた、といった話も聞きますが、当社では定年後の再雇用であっても、能力に応じて第一線で働き続けることができます。そのようなベテラン社員がいることで、リーガルテック事業の未経験者も知識のキャッチアップがスムーズに進みます。これも当社の強みのひとつです。

扱う情報のことを考えると「誠実な人」が望ましいですね。AIやIT技術への知識は必要ですが、それを前面に出す必要はありません。それよりも顧客の話を丁寧に聞き、困り事を理解し、適切なソリューションを提案できる、それが求める人材像です。

Text:Yoko Koizumi/Photo:Shintaro Yoshimatsu