Hiroshi
芸術学科卒業後、伊藤忠テクノソリューションズ株式会社、株式会社パン・パシフィック・インターナショナルホールディングスなど、複数の企業で法務業務を経験。2024年11月FRONTEO入社、経理財務統括部 法務知財チームの部長を務める
法律とビジネスの両輪がそろった「攻めの法務」で、
FRONTEOの社会貢献を加速させたい
法務に必要なのは、「高速道路を作る」という発想
芸術学科出身で法務。かなり珍しいキャリアですね

よく「特殊な経歴」と言われます。ですが、今振り返ると、芸術を学んだことが法務の仕事にすごく生きていると感じます。芸術の醍醐味は、異なる視点で社会を見ることで、同じ世界ながら違う景色を見せることにあります。
法律も同じで、他の面からだとよく見えることがあります。法務はどうしても法律の側面だけで見がちですが、私の場合は法律とビジネス、両方の視点で考えるようにしています。その視点が持てるのは、この経験があったからだと思っています。 法務の仕事に携わるようになったのは、伊藤忠テクノソリューションズで働いていた時のことです。私は営業と管理部門の両者をつなぐ部署にいて、ある取引で問題を発見したんです。それを上長に指摘したら、その取引内容が大きく変わったことがありました。その時に「法律で、社会を良くすることができる」と実感したんです。それでがぜん法律が面白くなって、法学部に入り直して本格的に学びました。
その後、パン・パシフィック・インターナショナルホールディングス(PPIH)で9年間過ごされていますね

はい、ここが今の私の基盤を作ってくれました。PPIHは今でこそ2兆円企業となりましたが、当時から「攻めの法務」でした。単純に法律を守らせるだけの受け身の部署じゃなくて、会社を良くするため、企業を大きくするために動こうというマインドをもった部署でした。
当時の会社はエネルギーに満ち溢れていました。その分、課題も多くて、トラブルが起きては直し、起きては直しを繰り返していたんです。ただトラブルが起きてから対応すると、時間もかかるしデメリットも大きい。それで「高速道路を作る」という発想になりました。 従来の法務だと、信号機をどこに置くか、という発想です。つまり事故(トラブル)が起きやすい、起きそうな場所にチェック機構を置く。ですが理想は、信号機を置かずとも、スピードが上げられる道にすること、つまり高速道路ですね。こういうスムーズな道をあらかじめ整備しておけば、ビジネスがスムーズに、速く進められるようになります。いまは、高速道路をつくることこそ、法務の役割だと思っています。
法務と知財の一体化で、ビジネスと法律のバランスを取る
2024年11月にFRONTEOに入社しました。決め手は何でしたか?

その後も他社で法務部門の立ち上げや、実際に事業部門での攻めの法務を実践したこともありました。ですがFRONTEOには、これまで経験していないすべてがあったんです。
まずFRONTEOの技術の軸は法律支援です。私はPPIH時代からUBIC(FRONTEOの前身)を知っていたので、リーガルテックを20年以上も前から展開している先見性が素晴らしいと思っていました。そして何より、やろうとしていることが本当に社会貢献につながっています。
他の企業は「AIがあるから何かしよう」をという発想が多い。ですがFRONTEOは「問題を解決したいからAIを使う」。つまりAIを道具として考えている。社会貢献という言葉が自然に出てくるのは発想の根源が違うからだと思いますね。
FRONTEOの法務の大きな特徴は、“法務と知財が一体化”していることです。法務と知財を別組織にする企業が多いのですが、私たちは「技術法務」を作ろうとしています。つまり当社の技術を理解した上で法務を見ることができる世界です。

法務は契約審査や会社運営の法的基盤を整備する仕事で、知財は技術や特許、著作権の管理。つまり知財は法律よりも技術についての知見が必要となります。特にFRONTEOはAI企業であり、ライフサイエンスでは創薬も取り扱うので、ある程度のITと医薬の技術知見がないとビジネスを進められない。
この二つが一緒になることで、技術を深く理解しながら、ビジネスと法律のバランスを取れることになります。法律を遵守することは当然として、ビジネスとして発展させていくにはどう戦略を立てるのが良いのか。どこを譲り、どこを守るのかが分かる。法務と知財が連携していて、さらに技術を理解していることが、われわれの部署の強みだと思います。

ただ現在の最大の課題は人材確保でしょう。知財系の人材は市場全体で不足していて、経験者採用が基本になっています。しかもFRONTEOで求めるのは、単に契約がチェックできる人ではありません。受け身ではなく、攻めの姿勢を持つ人。自分から積極的に、社会がどう動いているか考えながら動ける人が欲しい。
もう一つは知財戦略の強化です。FRONTEOは先進的なビジネスを展開していますが、いつの間にか競合が出てきて真似されることが多い。より強い知財を取得して、独占的にビジネスを拡大できれば、さらに社会貢献できるはずだと思っています。
AIに負けないように学び続ける、そのマインドが一番大事
FRONTEOで働く魅力を教えてください

やはり社会貢献を本気でやっている会社だということです。リーガルテック企業として、法律違反は致命的です。だからこそ他社以上に清廉潔白でなければいけない。清廉潔白でいてこそ社会貢献ができる、その信念を持てる場所です。
自分が死ぬときはいつか来るので、そのときに「こういうことをやれてよかった」って思える仕事を一つでも多くやりたい。そのためにも、目の前の仕事をこなすだけじゃなくて、その先で何を実現したかを大切にできる人と働きたいですね。
正直に言うと、専門知識だけではもうAIに勝てないと思っています。ChatGPTで壁打ちをしてみると、「確かにその観点があるな」という回答が出てきます。つまり教科書に書かれているような知識しか持たないなら、AIとは勝負にならなくなります。
だからこそ強い学習意欲がある人に来てほしいですね。AIに負けないように学び続ける、そのマインドが一番大事ですね。それから、新しいものが好きな人。新しいものの方が何かを変えられると思える人。そういう方なら、FRONTEOで面白がって働けると思います。

Text:Yoko Koizumi/Photo:Shintaro Yoshimatsu
